Clash 使用チュートリアル:サブスク導入から動作確認まで
Clashを初めて使うときにやることは4つだけ:サブスクの導入、プロキシモードの選択、接続の確立、動作確認。以下では手順を順に解説し、各ステップで「どこを操作するか」と「なぜそうするか」の両方を説明する。所要時間は約10分。Windows・macOS・Android・iOS・Linuxの主要なClashクライアントに対応している。
クライアントの違いを先に把握しておく
クライアントによって画面上の呼び方は少し異なる。Clash Verge Revでは「サブスクリプション」、Clash Meta for Androidでは「プロファイル」、Clash Plusでは「設定ファイル」と表記されているが、指しているのは同じ画面だ。全体の流れ(サブスク導入 → モード選択 → システムプロキシON → 動作確認)はどのクライアントでも共通なので、一度覚えれば他のクライアントでも使える。まだクライアントを入れていない場合は、先にダウンロードページから自分のOSに合ったものを入れてから戻ってきてほしい。
始める前に:2つのものを用意する
1つ目は、インストール済みのClashクライアント。WindowsとmacOSにはClash PlusまたはClash Verge Rev、AndroidにはClash Meta for Android、iOSはApp Storeで検索できるClash Plus、LinuxにはClash Verge Revがおすすめ。各OSのインストーラーとシステム要件はダウンロードページにまとまっている。インストールすればすぐ使えて、アカウント登録は不要。
2つ目は、有効なサブスクリプションリンク。これは利用しているサービス提供元が発行するもので、通常は https://example.com/api/v1/client/subscribe?token=xxxx のような長いURLになっている。サービス提供元の管理画面からコピーする。注意点として、このリンクにはアカウント情報が含まれておりパスワードと同等の重要度がある。スクリーンショットをグループに送ったり公開の掲示板に貼ったりしないこと。漏洩の疑いがあれば管理画面からリセットすればよい。
2つとも揃ったら、最初のステップから始めよう。
サブスクの導入
所要時間 約2分クライアントを開いて、まずサブスクリプション画面を探す。Clash Verge Revでは左側ナビゲーションの一番上のアイコンが「サブスクリプション」、Clash Meta for Androidでは下部タブの「プロファイル」、Clash Plusでは「設定ファイル」画面にある。この画面の役割はひとつだけ、導入済みの設定をまとめて管理することだ。
画面上の「新規」「追加」または右上の+ボタンをタップし、種類は「リモート / Remote」を選ぶ。一部のクライアントはクリップボードを読み取り、サブスクリプションリンクを検知すると確認ダイアログを直接表示するので、そのまま確認すればよい。サブスクリプションリンクをURL欄に丸ごと貼り付け、名前はサービス名など後で分かりやすいものにして保存する。
保存した瞬間、クライアントがそのアドレスにリクエストを送り、YAML形式の設定ファイルをローカルにダウンロードする。成功した場合は分かりやすい:リスト内に新しい項目が現れ、カードにノード数・トラフィック情報・最終更新時刻が表示される。読み込み中のままエラーになる場合は、まずリンクが省略されずコピーできているか確認する。サブスクリプションリンクは長いことが多く、手動選択だと末尾が切れやすい。リンクが正しくても失敗するなら、現在のネットワークからサブスクリプションのアドレスに到達できていない可能性が高い。切り分けの手順は設定リファレンスのサブスク更新の項を参照。
最後に見落としやすいポイント:導入したこのプロファイルをタップして「使用中」に設定すること。クライアントには複数のプロファイルを保存できるが、実際に使われるのは常に1つだけだ。導入直後に慌ててプロキシをONにしてしまい、実は古いプロファイルのままでノード一覧が更新されない、というのはよくある勘違いだ。
この設定ファイルには何が入っているか
ダウンロードされたファイルを開くと、中身は大きく3つのセクションに分かれている:
mixed-port: 7890 # ローカル待ち受けポート
proxies: # ノード一覧:1行に1台のサーバー
- name: "ノードA"
type: ss
server: example.com
port: 443
proxy-groups: # 戦略グループ:ノードを切り替え可能なグループにまとめる
- name: "PROXY"
type: select
proxies: ["ノードA", "DIRECT"]
rules: # 振り分けルール:上から順に照合
- GEOIP,CN,DIRECT
- MATCH,PROXY
proxies はノード一覧、proxy-groups はノードを切り替え可能な形にまとめたプロキシグループ、rules はどの通信をどのグループに任せるかを決める部分です。日常使用ではこの部分を書き換える必要はありませんが、3つがそれぞれ何を担当しているか知っておくと、後でログを見たりトラブルを調べたりする際にずっとスムーズになります。各フィールドの詳しい書き方はインストール大全で1項目ずつ解説しているので、わからない用語が出てきたら用語集で確認してください。
サブスクは一度導入したら終わりではない
サービス提供元は不定期にノードを追加・削除するため、クライアントはデフォルトで一定間隔(通常24時間)ごとにサブスクリプションを自動更新する。最新のノードを今すぐ反映したいときは、サブスクリプションのカードにある「更新」ボタンをタップすればよい。更新に失敗した場合はクライアントが古い設定をそのまま使い続けるため、通信が突然切れることはなく、時間をおいて再度更新すれば問題ない。
プロキシモードの選択
所要時間 約1分Clashには3つのプロキシモードがある。まずはそれぞれの判定方法を覚えておこう:
- ルール(Rule):設定内のルール表に基づき、通信ごとに直接接続かプロキシ経由かを1つずつ判定する。
- グローバル(Global):ルール表を無視して、すべての通信を現在選択中のノードに任せる。
- ダイレクト(Direct):一切プロキシを使わず、クライアントを起動していない状態と同じになる。
普段は「ルール」モードで固定しておく。これはサブスク設定であらかじめ想定されているデフォルト状態で、国内サイトは直接接続で速度が落ちずノードの通信量も消費しない、海外サイトは自動でプロキシ経由になる。両者の通信は干渉し合わず、切り替える必要もない。「グローバル」は問題の切り分け用に使う。ルールモードでつながらないサイトがあるときにグローバルに切り替えて試すことで、規則が対象を網羅していないだけなのか、ノード自体が不通なのかを判別できる。「ダイレクト」は比較テストのときにしか使わないことが多い。
切り替え場所:PC版では「プロキシ / Proxies」画面上部に並ぶ3つのボタン、Clash Meta for Androidでは「プロキシ」画面右上のメニュー、Clash Plusではホーム画面にモードのカードがあり、タップするだけで切り替わる。
ルール表がどんな順序で照合されるのか、なぜサイトによってプロキシを通るかどうかが変わるのかを詳しく知りたい人は、ブログの3つのプロキシモード比較に図解付きの解説記事がある。用語集ページの「ルールと振り分け」カテゴリにも関連用語がまとまっている。
接続の確立
所要時間 約3分まずノードを選ぶ
「プロキシ」画面を開き、PROXYや「ノード選択」という名前の戦略グループを探す。この時点ではまだスイッチをONにしない。グループの横にある雷アイコンをタップして遅延テストを実行すると、クライアントが各ノードに順番に探索リクエストを送り、数秒後に各ノード名の横にミリ秒単位の数値が表示される。結果の中から遅延が低くタイムアウトしていないノードを選んでタップする。表示される数値はあくまで目安で、実際の判断材料はページの開きやすさだ。数日使って遅く感じたら、再度テストして別のノードに切り替えればよい。
続いてシステムプロキシをON(PC版)
ノードを選んだら、クライアントのホーム画面または設定画面に戻り「システムプロキシ / System Proxy」をONにする。この仕組みは知っておく価値がある。クライアントは起動している間、常にローカルの1つのポート(デフォルト7890)を待ち受けている。システムプロキシをONにすると、OS側に「ブラウザの通信はまず127.0.0.1:7890に送る」という設定が登録される。その後ブラウザから送られた通信はまずクライアントを経由し、ルール表に基づいて直接接続かノード経由かが判定され、結果が返される。スイッチをOFFにすればこの設定はすぐに解除されてOSは元の状態に戻るので、安心してON/OFFを切り替えられる。
スマホ版はVPN経由になる
Androidにはシステムプロキシという概念がない。Clash Meta for AndroidのメインスイッチをONにすると、VPN許可のダイアログが表示されるので「許可」をタップする。通知バーに鍵アイコンが表示されれば、すべてのアプリの通信がクライアントに引き渡されている状態だ。iOSのClash Plusも同様で、初回起動時にVPN設定の追加を求められ、許可すればあとはスイッチをONにするだけでよい。
起こりやすい2つの小さなトラブル
ポートが使用中。システムプロキシをONにしたときにポート使用中というエラーが出る場合、7890が別のプログラム(たいてい他のプロキシソフト)にすでに使われている。対処法は2つ:占有しているプログラムを終了する、またはクライアントの設定でポートを7897など空いている番号に変更する。ブラウザ側は特に操作不要で、システムプロキシの設定はクライアントが自動で同期する。ポートについての詳細は設定リファレンスに専用の項目がある。
一部のアプリだけプロキシを通らない。ゲームやコマンドラインツール、一部のデスクトップアプリはシステムプロキシを認識しない。こうしたケースで必要になるのがTUNモードで、システム上に仮想ネットワークカードを作成しすべての通信を横取りしてクライアントに引き渡す。TUNは上級者向け機能なので初回は有効にしなくてよい。必要になったときは設定リファレンスにOSごとの有効化手順があり、仕組みについては用語集で確認できる。
動作確認
所要時間 約2分スイッチをすべてONにしても、プロキシが実際に機能しているとは限らない。1分だけ動作確認をしておけば、使っている途中で気づいて後から調べ直す手間を省ける。方法は2つあり、どちらか一方でも両方でもよい。
方法1:IPを確認する
検索エンジンで「IP確認」と検索するか、ip.sbなどのIP確認サービスにアクセスする。正常に動作している場合の目印は、表示されるIPの所在地がノードのある国・地域になっていて、契約している回線事業者の場所になっていないことだ。ついでに国内サイトも開いて、いつもと同じ速度で表示されるか確認しておくと、ルールモードでの直接接続部分も正常だと分かる。
方法2:接続パネルを確認する
クライアントには「接続 / Connections」パネルがある。これを開いたままブラウザで適当にいくつかページを更新すると、パネルに次々と接続記録が表示される。対象ドメイン・適用されたルール・実際に使われたノードが一目で分かる。海外サイトへのアクセスでPROXYと先ほど選んだノード名が表示され、国内サイトへのアクセスでDIRECTと表示されれば、振り分けが想定どおりに動いている証拠だ。ログパネルでも同じ情報が見られるので、ログレベルをinfoにしておくとよい。
うまく確認できないときはこの順に調べる
- IPが変わらないシステムプロキシが実際には有効になっていない。まずスイッチが本当にONになっているか確認する。SwitchyOmegaなどブラウザ拡張のプロキシ機能を入れている場合は「システムプロキシに従う」モードに切り替えるか一時的に無効化する。拡張機能がシステム設定を上書きしてしまうことがある。
- IPは変わったがページが開けない選んでいるノードが不通になっている。「プロキシ」画面に戻って再度速度テストを行い、別のノードに切り替えて試す。
- ノードを変えても開けないサブスクの期限切れやトラフィック使い切りの可能性がある。サブスクリプション画面で「更新」をタップし、それでも解決しない場合はサービス提供元にアカウント状態を確認する。
さらに複雑なエラーについては、ブログの実行ログの読み方と設定リファレンスのトラブルシューティング章に詳しい手順がある。初回接続についての詳細は初回接続ガイドも参照できる。
最後に:必要に応じて設定する3つの項目
4つのステップが終われば、日常的な利用はもう成立している。残り3つは必要に応じて設定するもので、設定しなくても利用には影響しない:
- 自動起動。クライアントの設定には通常「自動起動」と「サイレント起動」の項目がある。両方ONにしておくと、PC再起動後にプロキシがダイアログなしで自動的に準備完了する。
- サブスクリプションの自動更新。更新間隔が「しない」になっていないか確認し、デフォルトの24時間のままにしておけば、ノードの増減にクライアント側が自動で追従する。
- 起動時にシステムプロキシをON。一部のクライアントは起動後にシステムプロキシを自動でONにする設定に対応している。有効にしておけば、起動ごとに手動でスイッチを操作する必要がなくなる。
ここまでで、Clashの日常利用に必要なことはすべて揃った:サブスクの導入、ルールモード、ノードの選択、システムプロキシのON。使い慣れてきてさらに踏み込みたくなったら——ポート変更、独自の振り分けルール作成、TUNの有効化、GeoIPデータベースの更新など——設定リファレンスにOSごとの章立てで詳しくまとまっている。分からない用語が出てきたら用語集でいつでも確認できる。
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